徒然妄想日記

腐った妄想を吐き出す場所。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

看護学生ハボ6

続き。↓


 ハボックが生まれた時、ロイは9歳だった。当時ハボックとロイの家は徒歩で3分という非常にご近所同士で、二人の母姉妹はお互いに行き来をしており、またロイの両親が共働きであったことからロイは大抵夕方までハボックの家にいることが多かった。当然、ロイが幼いハボックの面倒を見るということになる。そんな乳児の記憶はハボックにはないけれども、きっとおそらくオムツをぎりぎりまでかえてくれなかったり、おもちゃを奪われたりしたのだろうとハボックは思っている。ロイはハボックが嫌がるのを本気で楽しんでいる節があるのだ。たとえば、5歳の頃、ねこじゃらしだと言って手渡されたものが実は毛虫で驚いたハボックはそれを握りつぶしてしまったことがある。それ以来、ハボックは毛虫を見るのも名前を聞くのも嫌いになってしまった。(ロイはそれを脅しのネタに使うことがしばしばある)また。ハボックが11歳の時、クラスメイトの姉に淡い恋心を抱いた時のこと。医大に通うためにセントラルに暮らしていたロイが土産だと言ってくれたのは過激なエロ本数冊。事細かに身体の神秘について教え込んでいったロイは涼しい顔をして再びセントラルへ戻っていったのだが、残されたハボックはしばらく女性不信に陥っていたこともある。
 毛虫の件についても母親に訴えてみたものの、ロイに「ジャンが間違えて毛虫触っちゃったんだよ。可哀相に…」と実に哀れみ深く言われて抱きしめられてはハボックがいくら反論しようとしても勝ち目はない。潤んだ黒い瞳に大人たちは弱かった。
 そんな風にいつもいつもロイに言いようにあしらわれてからかわれての毎日だった。
 大っ嫌いな天敵。まさしくそれなのに周りは気付いてくれない。自分を隠すのが上手いロイの本心はようとして知れない。わかっているのはロイに遊ばれているのだということ。それがハボックには悔しくてしょうがないのだった。
 幼い頃の記憶は酷く曖昧で、もう殆ど薄れてしまっているといってもいい。しっかりとした記憶なんて大体小学校に上がったくらいからのものだ。(嫌な思い出だけは憶えているのだけれども)だけど、ぼんやりとやはりいつも記憶の中にロイがいたことだけはわかる。
 そんな薄れた記憶の中ではっきりと憶えているのはいつか見た鮮やかな黄色のイメージ。それが何だったのかわからないのだけど。



 眉間に皺を寄せたまま、ハボックは渋い顔をしている。さっきからずっとこの調子である。時々その長身が揺れるのは彼が電車に乗っているからだ。立って吊革に掴まるハボックの目線は目の前に座る50代半ばを過ぎた中年男性の頭にじっと注がれている。あんまりハボックが渋い顔で見つめているものだから、この男性、自分のカツラがずれているのではないのかと内心気が気じゃない。勿論そんなことはハボックは知らないし、実際に見つめようとしてるわけじゃない。もし知っていたとしてもそんなことはどうでもいいことであった。
 実習病院近くの駅から5つ目の駅でハボックは思い足取りで電車を降りた。
「何で、ロイの家なんかに…」
 つまり、ロイの家へと向かっているというわけだった。病院からロイの住むマンションまでは車15分ほどの距離である。途中電車を乗り継ぎしながら、とりあえず駅へ降りてみたものの。
(大体なんだよこの地図っ!!)
 昨日、コレを見ながら来い、と言って渡されたのは心電図申し込み伝票の裏に線一本と四角い図形が描かれているだけの落書きだった。四角が駅だとすると、そこからのびている線は道だろうか?線の末端には癖のない流暢な筆跡で『ココ』とだけ簡潔に書かれている。
「こんっなんでわかるかよっ!もーっ!人を馬鹿にするのもいい加減にしろよなぁっ、あいつはっ!!」
 その地図とも言いがたい地図を握り締めて、ハボックは人目もはばからずに喚いた。ふと思いついて、もしかしたら道って一本しかないのかな。そうかも知れない、だからこんな簡単な地図なんだ。
 と、駅構内から一歩外へ踏み出してみたけれども。ところが目の前に広がるのは車の群れ群れ群れ。道路なんか、ここからみただけで右に一本、左に一本、手前に二本。駅の裏側だって道路は広がっていることだろう。ずるずると肩にしていたスポーツバッグが滑り落ちていく。バッグと一緒にハボックも座り込みながら腹の底から叫んだ。
「もおおおおおおぉぉぉぉっ、ちくしょーーーーー!!ロイのぶわかかあああああっ!!」
 そして自分のアパートに戻ることを決意したのであった。



「マスタング先生」
 病院の廊下を歩いていると、そう呼び止められてロイは振り返った。
 そこには白髪交じりの短髪を綺麗に整えた男性がにこやかに笑っていた。
「ああ、グラマン先生」
「何だか久しぶりに君の顔を見る気がするねぇ」
 そうですね、とロイも頷いた。
 ロイの勤めるこの国立セントラル病院と、イーストシティ大学総合病院は懇意の中であった。共同研究なども行っており、互いの中は密である。グラマンはイーストシティ大学総合病院の院長である。そしてロイと同じく心臓血管外科を専門としている。時々グラマンは助っ人として呼ばれることがある。また、ロイとグラマンは以前共同研究をチームを組んだことがあり、今でもたまに機会があれば飲みにいく仲だ。
「今日はどうされたんですか。もしかしてまたオペに呼ばれましたか」
「ああ、でも今回は助っ人というより野次馬かな。面白い症例があってねぇ。頼み込んで一緒に見せてもらったよ」
 執刀したかったなぁとグラマンは笑う。ロイも笑ったが、でもそれは少し嘘だなとロイは思う。珍しい手術が今日行われていたのは勿論ロイも知っている。今後同じ症例に出会えるか確立は低い。症例カンファに立ち会ったロイも見てみたいと思ったのだが、今回は外来勤務担当であったので残念なことにタイミングが合わなかった。グラマンは『頼み込んで
』と言ったが、多分頼み込んだのはこちらの病院側だろう。
「私も見たかったんですよ。そのオペ。後でビデオを見せていただく予定なんですけれどもね。私も頼み込めばよかったかなぁ」
「君は若いからまたいつかチャンスが来るさ。ところでマスタング君は今帰りかね?」
「今日は外来だったのでこれから病棟に上がって担当患者を診たらおしまいですね」
 担当手術のない今日は外来担当だったといえ、比較的業務はスムーズだった。現在重症患者もおらず落ち着いている。
「せっかくだから久しぶりに飲みたいね。私も院長に挨拶してから帰ろうと思っていたんだ。丁度帰りも同じくらいだろうし、どうだい?」
 長い白髭を撫でながらにこり笑う。いいですね。と躊躇わずロイは同意した。それじゃあ20時半に正面玄関で。それだけ決めて二人は別れたが。
(あれ?)
 何か忘れている。
 うーん、と考えたが、思い出せず。ま、いいかとすぐに諦めた。どうせ大したことじゃない。あの人の状態を診に行って、切れそうな内服薬を追加処方して…CTの結果はどうだったかな…そんなことを考えているうちにすっかり何を忘れていたのか気になったことさえ忘れてしまっていた。




この後は財布をなくしたハボがヒューズに拾われてご飯奢ってもらって、ソレ知ったロイが怒って…とかいう展開になるはず。…なのですが続きはいつか書けたら。半端でごめんなさい。
名前を変えただけで元はオリジナルですのでロイが料理できることに物凄く違和感です。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント


この記事に対するコメントの投稿

















この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
→http://catmintinuhacca.blog66.fc2.com/tb.php/240-32961b25
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
プロフィール

kirika

Author:kirika
煩悩と堕落。
好きなものは鶏からとカレーと抹茶のスイーツ。
あとハボック(もの?)

カテゴリー
TE-Blog

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。