徒然妄想日記

腐った妄想を吐き出す場所。

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看護学生ハボ3

続き。↓


 男にしては小さくて可愛い。
 それは幼いハボックに与えられた一つの修飾語である。
 そしてそれは同時にコンプレックスとなった。
 可愛い男の子というと、女の子の間では人気の要素なのだが、ハボックは素直に喜ぶことはできない。何ていったって、その顔もロイに苛められるネタだったからだ。今でも思う。自分が大きくて強かったらロイに負けなかったのに。反対に苛め返せるくらい強ければよかった。
 その頃に比べて今はずっとずっと大きくなって、ロイすら抜いてしまったけれども、悲しいかな幼い頃のトラウマというものはなかなか克服できないものなのである。

「ジャン」
 きた、とハボックは思う。電話の相手は母親。週に一、二回かかってくる定期電話だ。いつもの通り、元気にしてる?と始まって、我が家の近況報告に続き、そして。
「ロイ君と仲良くやってる?」
 それを聞くとハボックは一気に疲れがどっと肩にのしかかってくる重いがしてくるのだった。
「あのなー。同じ病院だからっていつも会うっつーわけでもないんだぜ?大体、別に一緒に住んでるわけでもないんだから仲良くいくもなにもない!」
「そう?仕事の邪魔だけはしないようにね。甘えて困らせたりしてるんじゃないの?」
「すっ、するかっ!!」
 迷惑かけられてるのはむしろこっちだ!
「そしたらロイ君によろしく言っておいてね。迷惑かけないのよ。あんたはすぐ泣くから」
「いい加減な発言はしないでくれ、頼むから…切るよ」
 それから…と電話の向こうではまだ何か言いかけているようだったか無視して一方的に受話器を置く。はぁぁぁぁぁと長い溜め息が漏れた。毎度毎度同じような会話にうんざりとする。
 ハボックは気を取り直すと放ったらかしにしていた今日の実習レポートにとりかかった。受け持ち患者に行った援助記録をいくつかと、情報をまとめていく。今日は心臓カテーテル検査の見学もしたからレポートも書かなくてはならない。計画の追加修正もしなくては。
手抜きができない性格なので、いつもレポートには時間がかかってしまう。やる気のなさそうな見た目に反して実は結構マジメなのだ。
 夕方7時頃帰宅して、風呂に入って食事をして、それからはずっとレポートに追われることになる。やっとベッドに潜ることができるのはいつも深夜1時を過ぎることが多かった。
 ハボックは一人暮らしである。寮に入ることも考えたのだが、初めに見学した時にそのあまりの寮の汚さに耐えられないと思い諦めたのだった。最初に親が決めた仕送りの金額は寮に入ることを前提としていたものなので、仕送りの殆どがアパートの家賃でなくなってしまう。いきなり一人暮らしをすると決めたのは自分だから、仕送りを増やしてほしいと言えるはずもなく、足りない分はバイトをしてまかなっていた。しかし今は実習期間中なので、そのバイトも休んでいるところである。食事も手抜きすることが多いので今日なんかもコンビニのパン一個だった。この頃は本気で友人のブレダあたりと同居しようかと考えている。

 ぐぅぅぅ…
「腹減った」
 やはりパン一個では足りなかったか。期待して冷蔵庫を開けてみるが、腹の足しになるようなものはこれといって入ってなかった。ないとなると余計に何か食べたくなる。コンビニに走るとしても、今はぎりぎりの生活をしているので余計な出費は避けたかった。
(我慢するしかないかー)
 とは言うものの、腹の虫はおさまらない。しばらく唸っていたハボックだったが、やがてがばりと立ち上がった。その手には財布が握り締められている。結局は食のニードには勝てないというわけである。
 その時、玄関のチャイムの音が鳴った。誰か来たようであるが、どうせ新聞か保険の勧誘か何かだろう。とにかく早く追い出そう。
「はーいはいはい。どちらさんですかー…」
がちゃ。ばたん!
 扉を開けたハボックは次の瞬間勢い良く扉を閉めた。
(な、何でいるんだ!?)
 ドンドンドン!
「ジャ?ン!!お前、人の顔見るなりドア閉めるってどういうことだ!開けろ」
 扉の向こうにいたのはハボックがよく知る人物。すなわち。
「何でロイがいるんだよっ!?」
 ドアを叩く音を聞きながらハボックは必死で考える。
「開けろって言ってるだろう。わざわざ人がきてやったのに…!」
「やだっ!」
 こいつ、本気で言ってるな。チッと舌打ちするとドアを叩く手を開きそっと扉にあてる。そしてこっそりとハボックにだけ聴こえるように言った。
「いいのか?そんなことを言って。言うぞ。言ってしまうぞ」
「何をだよっ?」
「お前の過去を知ってる男だぞ、私は…」
 ぎく、とハボックは体を強張らせた。さっきからロイが大声を張り上げていたせいで、隣近所の住民が何事かとこちらの様子を伺っている。
「お前はなぁ、ジュニアスクールの時にぃー…」
 ロイはそこで大声を出した。
「わかったから、入れよっ!!」
 そう叫んだハボックが真っ赤な顔をして扉を開けたのはすぐのことだった。
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煩悩と堕落。
好きなものは鶏からとカレーと抹茶のスイーツ。
あとハボック(もの?)

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