徒然妄想日記

腐った妄想を吐き出す場所。

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看護学生ハボ2

下の続きです。↓

「あー、どこにあんだ?ちょっとはこの辺整理しとけっつうの」
 物品が足りないと言うので、ハボックは一人リネン庫に戻っていた。がさがさと散らかり気味の棚を漁る。と、そこに誰かが入ってくる気配がした。
 ウィンリィか誰かが来たのかと思って声をかけるとそこにいたのはロイだった。ぎくりと体を強張らせてハボックは思わず後ずさった。
「探し物はみつかったかい?」
 後手にドアを閉められる。カチャ、という物音に気が付いたときはすでに遅し。
 この狭い部屋には今二人きり。
「な、何の用ですか」
「さっきの答え、聞きにきたんだ。知らないなんて言わせんぞ」
 ロイは近づくと、ハボックを挟んだ形で両手を壁に押し当てて逃がさないようにしてしまう。今はさっきの地蔵のようなにこやかな笑みはない。代わりに冷ややかな微笑が浮かんでいた。ロイの方がハボックよりも小さいのにこの威圧感はどうだ。ハボックはひくりと口元を戦慄かせた。
 笑顔が素敵?冗談じゃないっ!
 心の中でだけでなく、実際にも叫んでみた。
「あんたね、ふざけんのもいい加減にしろよっ、ロイ!」
「ふざけてなんかいない。ああ、そうか。期待したか?」
「こっ…こいつ…っ」
 ふるふると拳を震わせる。
 つ、とロイはハボックから離れると胸ポケットから出した煙草に火を点けた。見慣れたパッケージのそれはよくよく見れば自分の煙草と同じ銘柄で、もしかしたらもしかしなくても。
「ああっ!それ俺の…げほっ!」
 緩く吸い込んだ煙をわざとハボックに向けて吐き出す。ハボックは思わずむせてしまい涙目だ。ロイはそんなハボックににやりと笑って「サボるのにここは最適だな」なんて言う。
 っ…!この二重人格!!!!
 殴ってやろうかと思わず拳を握り締めるが、ぶるぶると震えながらも何とか深呼吸することで堪えた。そんなハボックをロイは面白そうに見ている。
「あんたがこんな性格だって言っても誰も信じねぇよな」
 はぁぁ、と深呼吸は大きな溜め息になった。
「ふん、誰を信じるって当然私だろう。しかしまずいな、こんなもんが美味いのか?」
顔をしかめてそんな風に言われて、じゃあだったら煙草返せよと思うけれど口には出さない。
「ああ、そうだ。そういえば叔母さんは元気にしてるか?」
「……元気っすよ」
 この前の電話では「ロイ君に迷惑かけるんじゃないわよ」なんて言われてしまった。更には「ロイ君がいるから安心だわ」なんて。…母親まで騙されている。
 …俺の最大の失敗はロイと従兄弟ってことだ。

 ハボックの母親の姉はロイの母親である。つまり二人は従兄弟同士なのだった。幼い頃から会うたびに苛められて苛められて苛められ抜いてきたハボックであった。しかしそのことを母親たちに言いつけてみても誰も信じてくれないのだ。要領のいいロイは反対に周りを味方にしてしまい、何故か悪いのはハボックということになってしまう。9歳も離れているのに。いや、離れているからこそか、ハボックはロイのおもちゃであった。だからロイはハボックにとってのだいっ嫌いな天敵なわけで。
 しかし何の因果か巡り合わせか。ハボックのいるこの病院付属の看護学校にきてしまった。ハボックの出身は東部の片田舎だ。第一志望はイーストシティの看護学校だったのだが、その学校は二次試験で落ちてしまった。そしてその他の志望校もことごとく落ちてしまい、結局第五志望の現在の学校に至るというわけである。伯母の手前、とりあえず志望に入れていただけなのにここしか残らなかった。
「何溜め息ついてるんだ。大体お前むかつくぞ。何でいまだに私と従兄弟だって言ってないんだ。そんなに嫌か、私と従兄弟だってのが」
 じろりと睨まれハボックは思わず怯む。だが負けじと「嫌だ」ときっぱり言い返した。
 なるべくならもう関わりたくなかった相手なのだ。それにロイと自分が従兄弟だなんてクラスの女子に知れたら「この手紙渡してv」だの「紹介してv」だの色々色々言われるに決まっている。そんなのは絶対に御免被る。
「ふぅん。覚えておけよ、その台詞」
 苛めてやる、と低く言い放つその声にハボックはびくりと体を震わせた。このあたりが昔からの条件反射のようなもので、はっきり言って苦手で怖い。
 ロイはさして面白くもなさそうに、ふん、と鼻で笑うと手にしていた煙草を床に落すと足で揉み潰した。そして興味が失せたかのようにあっさりと出て行ってしまう。ほっとしたのもつかの間、すぐに扉が開いた。
(ロイ!?)
 ぎくりとしたハボックだったが、そこにいたのは指導者ナースである。
「ハボック君、物品を探すのに何分かかっているの!患者さん待ってるのよ!早くして!」
「は、はい!すいません、なかなかみつからなくて…」
 慌てて言い訳をしたハボックであったが、しかし。
 げ。
 足元に散らばっているのは先程ロイが吸い散らかした煙草の吸殻。片足で引き寄せて隠すハボックをナースは不審そうに眉を顰めて見ている。
「何してるの。早く来なさい」
「は、はい…」
 急かすナースの声に、だがハボックは動けない。動こうものなら見えてしまう。
(ちくしょーっ!ロイのアホの馬鹿っ!何で俺がこんなことをぉぉっ!!)
 しかしその心の叫びを聞いてくれる相手はどこにもいないのだった。
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Author:kirika
煩悩と堕落。
好きなものは鶏からとカレーと抹茶のスイーツ。
あとハボック(もの?)

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